よく考えると、ロマンチックだ。

知りたい事があるけれど、
死ぬまで聞けずに終わる事もあって、
疑問を抱いたまま死ぬんだな。


知らない方が良かったか事かも知れないけれど、
知らなくて良かったかどうかは知ってみないとわからない。


そこまで知りたがりやさんじゃないけれど、
そんな私にもとても知りたい事がある。


そこには、
深い深いなぞが横たわっているのか、
それとも、
ごく軽い、他愛も無い理由がただあるだけなのか、


これから先も知りたくて、
ちいさなトゲとして残って行くのか、
そのうち興味が無くなって忘れ去ってしまうのか。


知らない方が良かった事でも、
やはり知ってからそう思いたい。
そう、本当は知りたい。
ただそれだけ。


自分の欲求を押し通して尋ねる人もいるだろう。


でも私はあえて聞かない。
この大きな疑問を持ったまま、
いつか死ぬのだ。


そう考えると、
小さな深い暗がりの中に１人放り込まれ、
胃が締め付けられるような不安感に襲われる。


自分の人生でせっかく関わった人の不可解な行動に、
親しみを込めて疑問を持ち、
それがひどい内容であれ、
理由を知れば一枚ほどけて、歩き出せる。


けれど、理由を聞かずに疑問を持ち続ければ、
それはいつしか小さな石になる。
その人との関わりが、
意外と希薄だったと思い知る。


そんなのいやだけれど、
私は聞かない。
お墓に持って行くしかない。
小さな石を握りしめて。


　


でもよく考えると、
ロマンチック。