2011/01/26

とりとめのない話

ルネッサンス様式、石造りの大きなデパートやホテル、
立ち並ぶ商店やレストラン一軒一軒は、
ヨーロッパや北欧の雰囲気で、
どこもきらきらと磨き抜かれており、
中をのぞけばクリスマスのように
暖かく美しく輝いている。

高い建物があまり無く、
空が広い。バニラスカイ。
そう遠く無い位置に
おだやかな海の水平線と、
真っ白な大きな帆を満帆に張った何隻もの巨大なヨットが見える。
素晴らしく美しい街。

時は昼と夜の間、薄明るい夕暮れ時で、
何もかもが美しく輝き出す時間帯。

大きな古い石造りのデパートは
通りから広い階段を登りきった所が1階部分で、
私がデパートから出ようと通りを見下ろすと、
視界がかなり広く開けて、
一人の男性が媚びるように私を見上げながら登って来た。

私は美しい世界の息をのむ光景を、カメラで撮影するのが忙しく、
彼を気にも留めなかったが、
通りの2人の、何か打ち合わせ中のドアマンを中心に、
カメラの構図を整えていたら、
画面の中にその男性が割り込んで来たので、
カメラから顔を上げて、
撮影を一旦中止しなければならなかった。

するとその男性は天使のような甘い笑顔で
「ステキですね、カメラですか?良かったら貴方のアドレス教えて」
と来た。
いままで何人ものアドレスを難なく聞き出して来た自信に
笑顔が輝いていた。

「ごめんなさい。今そこを撮影しようとしていたんです」
少々冷たく言い放ち相手が察したかどうか
顔色をじっと見る。
彼は私の無言の拒絶を察して、
あっさりと落胆。私の視界から消えて行った。

私は石造りの階段をゆっくりと降りながら、
被写体を求めて通りを見回す。
どこを見ても美しい。
古いものを大切に管理して来た、
上品な町並み。

私は水平線にヨットの見える方角に興味があり、
ついそちらの方へと歩いて行く。

空は目の覚めるようなブルースカイではない。
くりかえし言うが、バニラスカイだ。
上品で、優しく、明るい空。
見ていると時間の感覚が失われてしまう、
そんな色の空。

石畳の道をヌードカラーのヒールでこつこつと、
ゆっくり歩いて、
通りの店一軒一軒を眺める。

あるビストロでは重厚なマホガニーの店内で
白髪の美しい夫婦が、
孫らしき少女にくまのぬいぐるみをプレゼントする瞬間であり、
キャンドルに、少女の上気した頬が輝き、
これ以上無い天使の笑顔

それをあたたかく囲む老夫婦も、
とてもしあわせそうで、
思わず私はカメラを構えた。

「写真を撮らせて頂けますか?」と尋ねれば、
この美しい瞬間を撮る事は出来ない。
二度と同じもののない瞬間。

でもしあわせな時間を、
見ず知らずの者に無遠慮にカメラを向けられて、
いい気ははしないだろう。
暖かい空気も冷えてしまう。

そのように迷っていたら、
目が覚めた。


ゆうべの私の夢です。

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