2011/05/04

托鉢のルール






先日仕事場に托鉢のお坊さんが来た。


初めはお向かいのお店の前に立って、
お経をとなえ、
お向かいの奥さんが、
お坊さんの持つ鉢に、お金を入れていた。


私は焦った。


ある事情から、
「これからは托鉢のお坊さんが来たら必ず何かさせてもらおう」
と思っていたけれど、
突然の事で、仕事中でもあり、
いついなくなってしまうかもわからず、
あわてて自分の財布を見に行くと、
5000円札しかない。


いくら「なにかさせてもらう」と言っても、
5000円差し上げることは私にとって身分不相応。


あわててレジで1000円札に両替しようと思っていたら、
けして悪い人間ではないけれど、
いつも何かの悪口を言っているスタッフが、
話しかけて来た。


その人は何かを寄付する、と言う事に対して、
強く思っている事があるようで、
絶対に寄付はしない方針の人だ。


そのスタッフは、まさか私が
托鉢のお坊さんにお金を受け取って貰おうとしているとは思いもよらずに、
いつものように言い出した。


「お向かいの◯◯さん、お坊さんにお金なんかやって、
 あんなの、お坊さんかどうかもわからないのに、よくやる.....」


私はその言葉が聞こえていたけれど、
早くしないとお坊さんがいなくなってしまう、
と思い、
いつもならスタッフの話は丁寧に聞くのだけれど、
その時ばかりは、話の途中で完全にぶっちぎり、
無視して、話の腰を折り、


「あ、うん、わたしも事情が有ってお金渡して来るから、
 両替するね。」とレジを開けて両替した。


スタッフが少々唖然としているのを横目に、
あわててお坊さんのところへと駆け寄り、
こんにちは、と頭を下げてお金を入れて、
ありがとうございます、と言い捨てて、
仕事に戻った。
仕事も忙しかったのだ。


托鉢のお坊さんには何か決まり事があるのかどうかわからないけれど、
こんにちは、には答えずにひたすらお経をとなえる。


その後暫くお経の声が聞こえていたけれど、
いつのまにかいなくなっていた。


スタッフは、
私の満足そうな様子に、
それ以上とやかく言って来なかった。


それに、なにか、
考え込んでいるふうでもあった。


確かにそのスタッフが言うように、
本当のお坊さんかどうかもわからない。
けれど、私にとって、
本物かどうかはまったく問題じゃない。


そのスタッフが言うには、
「楽して人にお金貰うんだから、お坊さんに成り済ましている人かも知れない。」
と言う事だけれど、
托鉢が楽な事だと思えるとは、
驚きだ。
自分でやっている所を想像するといい。
決して楽ではないはずだ。
托鉢の事はまったく知らないけれど、
どちらかと言うと、
修行のような物ではないかと思う程、
心が強くないと耐えられないのではないだろうか。


お坊さんは半年に一度ぐらいのペースで来る。
顔は見えない。
同一の人なのか、違う人なのか、
まったくわからない。
顔を上げないのもルールなのかと思う程、
顔を見た事がない。


次に来られたら、どんな風に接したら良いのか、
誰か知ってたら教えて下さい。
決まり事やしきたり作法、あるなら知りたいです。






   

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