2011/05/14

ドライブ




ドライブが好きです
1人で車を走らせるのが好きです




天気のいい日 
気の向くままに走る
公園を通り過ぎる時 子供達の笑い声が
幸せの天使の音のように鳴り響くと
私の心もほどけてゆく




雨の日車を走らせるなら
小雨よりむしろ 土砂降りの爽快感
街路樹の生い茂った濃い緑が
激しい風と天の恵みに洗われて
噎せ返るようにしっとりと息衝いている




曇った空のどんよりとした憂鬱感もいい
夕方のように薄暗い街を走ると
体内時計が狂い始める
厚い雲は低く
悪い知らせを言いたげに垂れ込める




仕事帰り夕日に向かって車を走らせる
目を見張る美しさで
視線を捉えて離さない魔力
オレンジと赤の間
ただ 直視出来る太陽なら
強いようで弱っている証




朝窓を開けて走ると 新しい朝の空気が生命力をくれる
新鮮な空気が車内いっぱいに入って来る
髪を軽く弄んでから
背中を押してくれる軽やかな風
車を止めると
風も止まり
気持も落ち着く




寒い日のあたたかい車内も素敵
熱いコーヒーを持ち込んで
注意深く飲みながら
上目遣いで窓の外を見る
外が荒れ模様なら 素敵
雪が降り始めたなら なお素敵




1人車を走らせていると
よく あのことを思い出す
そうすると突然堰を切って
大粒の涙がぼたぼたと あふれ出す
受け入れ難い現実に
自分を必死で押さえ込まないと
大きな声で叫んでしまいそうになる
呼吸は浅く
視界は曇る
なぜ急に視界が曇ったのかと目元に手をやると
たくさんの涙で濡れている事に
やっと気付く




でも
車は私を1人にしてくれて
大きな声で思い切り泣いても
いつも黙って受け入れてくれる


だから


ドライブが好きです
1人で車を走らせるのが好きです







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