2011/02/05

道のさきにあったもの



「人生の岐路に立ったら、困難な方の道をゆけ」
そう誰かが言ったように思う。




小さなトゲが、思いのほか大きくなり、
それについて考えているうち、熱がでた。


すぐ行動しないとだめになる、と自分に言い聞かせ、
かなり、かなり勇気のいる事だったけれど、
私の前にふたつに分かれた道の、
片方は現状維持のぬるま湯、
もう片方はすべてがオワリになるであろう道。
そこへ、震えながら立った。


大切なものを守るため、
大切なものを手放す覚悟を決めた。
本当はぎゅっと抱きしめておきたいもの。
自分で自分の指を一本一本はずして、手放す。


地平線もない荒野に1人放り出された私に関係なく、
会社の業務は進み続けるので、
私は平静を装わなければならなかった。


涙はあふれそうになっているけれど、
こぼれ落ちなければいい。
頬は上気しているが、
そんな事はかまわない。


スタッフと目が合う。
「打ち込みが多くて目がつかれた」とやりすごす。
スタッフが話しかけて来る。
真剣に話を聞いても、
スタッフの声が小さく遠く聞こえる。
はっとして、気持ちを切り替える。


そうして私は、すべてがオワリになるだろう道へと、
足を踏み入れた。


風邪を引いている訳じゃないけれど、
身体は熱をもち、
意識が朦朧とするほど疲れきっていたが、
私は覚悟を決めていたので、
ふるえながら歩き続ける。


iPhoneを握りしめて。


そして、突然メールは来る。
待っていたはずが、
私はなかなかメールを開く事が出来なかった。


思い切って開いた着信メールをおそるおそる見ると、


そこには、
くらいくらい暗闇や、
私を刺す言葉や、
氷のような拒否はまったく無く、


私の「困難な道」の先にあったものは、


静かに誠実にあたたかく受け入れてくれて、
私をやさしく抱きしめてくれる言葉と、
私の嬉し涙だけだった。





0 件のコメント:

コメントを投稿