風に吹かれるのが好きだ。
風に吹かれるのが好きだ。
何かを決心した時、髪の間をさやさやと抜けるさわやかな風。
激情に押し流されそうな時、強く髪をさらおうとする運命的な風。
南の島から渡って来るようなあたたかく湿った風は夏の予感。
コートの襟を立てさせる身を切るようなあまりの北風に、思わず笑みがこぼれる。
走り出してしまった恋に、スカートをはためかせる春の風。
泳ぎつかれて砂浜に寝転ぶ、気怠い潮風。
ビルの間で起こるあまりの突風に驚くのも刺激的。
大きな台風のうねるような中心に自分がいる、と錯覚しそうな強い風。
季節の変わり目に遠く大陸から地球を這うように渡って来た大きな風。
すべてが私の心に働きかける。
髪を揺らし、服をはためかせ、
心のリボンをほどいていく。
地球の愛しい恵み。
いつもそれを感じていたい。
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