2011/02/26

むかしむかし、まだ誰も知らない南の島に降り立った人。



香りについて書いてみる。
香りは文章に書けない。

香りの捉え方も、
人がどう捉えているのかはわかりようがない。




ただ私が「バラの香り」と認識している物を、
他の人も同じように認識しているであろう、
と思うしか無い。

それはちょっと違うな。
バラから香って来るから、 バラの香りなのだ。

つまり、私が言いたいのは
私が香っているバラの香りと、 
人が香っているバラの香りが、
同じ香りかどうかはわからない、と言う事。

見えないものだから。


科学的に調べればわかるだろうけど、
人間ってそういうものでは計り知れない。
と思いたい。

精神状態や体調でも違うかもしれないし、
バラの時間帯でも違うかもしれない。



香水は付ける人によって香りが変わるという。

先日、いつも人が着けているとてもさっぱりした香りの香水を、
興味本位で着けさせてもらった。
無造作に自分の胸元に吹きかけてみると、
あの良い香りはどこへいったのか、
とても濃厚できつくて、
いつもその人から香って来るさわやかな軽い香りとは違った。 
ラストノートのように濃縮された強い香りに辟易して、
すぐに何度も拭った。

香りは奥深い。
高級な香水には、
類い稀なる花々のエキスだけではなく、
悪臭成分を混ぜていると聞いた事がある。
良い香りだけをただただ混ぜただけでは、
良い香水は出来ないらしい。
人間も少々毒のある人、
魅力的ではありませんか?




香りについて言葉で説明してみる。
上手く行くとは思えないが、
上手く伝わるように努力してみる。


私の好きな香水について。


―ボトルを開けると
 はじけるようなめくるめくフルーティーな香りと
 幸福感。
 すももやオレンジやみずみずしい桃のような香りの奥に、
 かすかにバニラやキャラメルのようなため息の出る甘い香りが隠れている。


 むかしむかし。
 まだ誰も知らない南国の無人島に咲き乱れる、
 誰も見た事の無い大輪のピンクの花。
 持って生まれた花言葉は「喜び」。
 
 柔らかな花びらの絨毯の、
 そこに降り立った東方の姫さまの、
 小さな靴は上質なオレンジのサテン。
 美術品のような衣裳はエキゾチックな桃色。
 彼女が漆黒の瞳を閉じてため息をついた時、
 その重ね衣の隙間から匂い立つ、そんな香りです。― 
 
こたえは、Yves Saint Laurent "BABY DOLL" 


香りは文章には書けない。


  

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