2011/02/23
孤独は形を変えて私に寄り添いつきまとう。ひとりっ子のせいか?
孤独だった頃、
1人の時間が好きだった。
仕事から帰ると、
1人静かに仕事の続きをしたり、
家の事をしたり、考え事したり、
ひとことも話さず、
ため息もつかず、
テレビも見ないので、
家の中には時計の音と、小さな生活音がするだけ。
1人音楽を楽しむとき、
音が静かに流れるようにする。
アナログな、
音質を追求していないこの環境で、
大きな音は見苦しく、
大体、元々大きな音は怖くて苦手なのだ。
そのくせ、イヤホンで聴くときは、
大音量で聴く。
音の洪水に溺れたいから。
イヤホンを使って1人の殻にこもり、別の世界に行く。
本に没頭する贅沢も知っている。
執拗に私を呼ぶ電話を無視して読み続ける事もあった。
何日もかけて大事に読もうと思っていたのに、
あまりにも没頭し過ぎて、
長編を一日で読んでしまう贅沢もしてきた。
休日にふと朝から読み出して時間の感覚がなくなり、
昼食も摂らず、
目を上げると窓の外は夜。
そんなタイムスリップをした事もある。
愛する人と一日中ベッドで過ごすように、本と過ごす。
一歩も外へ出ず、
怠惰な休日を過ごしてしまった事への、
何とも言えない罪悪感と快感も知っている。
1人車で走るのも好きだった。
運転しているときの孤独感は、
とても爽やか。
ガラスの箱であるから、
多少人目を意識はしているものの、
心は自由で、開放感にあふれている。
小さく何かつぶやいてみる。
歌ってもいい。
密室であるわけだし、何故か安心出来る。
思い立ってそのまま遠くまで走らせれば、
孤独が心地よい。
あの頃、孤独を楽しんでいた、と思う。
そう思わないとやって行けなかったのかも知れないけれど、
心は平静で、
孤独なんて、空気みたいなものだった。
軽くあしらって、受け流していた。
恋をした。
もう孤独じゃない。
はずだった。
だって1人じゃないんだから。
でも
会えない夜、とてつもない孤独に暗く落ち込んで行く。
孤独だった頃の孤独など、
ちょろいものだった。
連絡がない夜。
疑心暗鬼、もしくはなにか落ち度があったのではと、
自分を責める。
瞳孔が引き絞られるように、
心がどんどん狭まって来て、
黒い孤独がドアをたたく。
メールが来ない。
昨日私を好きだと言ってくれたけど、
今日好きでいてくれている保証はどこにもないのだ。
会いたい会いたい。
でもあの人は私に会いたいだろうか?
今頃誰かと過ごしているのだろうか?
もういやだ。
孤独は嫌だ。
1人の時間が嫌いになった。
私の知ってる、ドライで自由でいつも軽く微笑んでいた孤独は、
もうどこにもいない。
いるのは、
取り残され、青ざめた、暗く、重い、汚れた孤独。
でも、
ここまで落ち込んだこの孤独は
ある簡単な魔法で、
キレイさっぱり消えてなくなってしまう。
という、不思議な習性を持っている。
その魔法とは、
あの人からの一通のメール。
補足:暗い話、何故か好きです。
ちなみに、私の話ではありません。
ご心配なく。
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