2011/04/18

大邸宅に於ける満足感と焦燥感についての考査



むかしむかしあるところに、


三角屋根のおおきなおおきなおうちがありました。


とてもおおきなおうちで、


そこらではいちばんの、とびきりじょうとうなおうちでした。




ヨーロッパかくちから運んで来た、うつくしい色の石で造ったかべに、


テラコッタのやねがわら。


ニ階層のおうちだけれど、高さは三階建ての高さ。


みあげると二階のおおきなまどにはステンドグラス。


おうちのよこにまわるとガラスばりの車庫があり、


がいこくのくるまが三台。


くるまの奥には、ゆうめいな絵画や大きな絵画がかざってあるのがみえる。


正面のエントランス付近は、


ヨーロッパの漁師町のようなふんいきで、


おとぎばなしの絵本からぬけだしたようです。


よるになるとおうち全体をやわらかな照明がてらし、


おうちが


「わたしはここよ。どうです?素敵でしょう?」っていってるみたいでした。


ひとびとは、おうちにすんでいるひとのことを


うらやましくおもいました。






そのおうちから、


10キロはなれたところに、


そのおうちとまったく同じかたちで、


まったく同じいろの、


もっともっとちいさなおうちがありました。


ふたごのしまいのようにそっくりですが、


おおきさだけがぜんぜんちがいました。


かたほうはとてもおおきく、


かたほうはこじんまりとちいさい。


でもどちらも、


めずらしいヨーロッパの材料をとりよせてつくったので、


きんじょではとてもめだったいました。






ちいさい方のおうちがさきにできて、


やがてあとからおおきなおおきなおうちがたったのです。






おうちのもちぬしはあるおかねもちのおとこでした。


おとこはあるとき、


アイジンに、


ちいさくて素敵なおうちをプレゼントしました。


アイジンはまんぞくして、


おとなしくなりました。






それをみたホンサイは、


おこっておとこにいいました。


「あれとおなじいえをわたしにもたててください。
 
 いえ、あれよりおおきくおおきくなくてはならない。


 わたしにはそのけんりがあるはずです。」






そうして、おおきなおおきなおうちが、できたのです。





いきさつをしったひとびとは、

おうちにすんでいるひとのことを

かわいそうにおもいましたとさ。



  
  

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