2011/04/09

裏言語について。






一説には、脳の作りから察するに、
人は約20万年前頃から言葉を使っていたのではないかと言われている。


単純に状況を伝える手段、
生きて行くため、
危険回避や、食べ物の情報などを、
シンプルにやり取りしていたのだろうか?


感情をあらわに、ストレートに伝え合っていたのだろうか?
いや、あらわな感情に言葉はいらないだろう。
顔や身体を見ればわかる。




現在日本という国には、
「言葉の裏」や「読む空気」という厄介な言語が存在する。


相手の発した言葉そのままを素直に受け取るのではなく、
その裏にある意味やニュアンスを読み取らないと
会話が成り立たないのだ。
時には、そこに会話がなくても、
何かを読み取らないといけない場合もある。
人の表情や、その場の状況などから、
いわゆる「空気を読む」のだ。


身近な具体例は、
小さな子を連れたお父さんお母さんが、
言う事を聞かずにその場にとどまろうとする子を
早く連れて帰りたい時に言う、
「じゃあねばいばい」


すると小さな子は置いて行かれると思い、
あわてて着いて来る。


もしくは慣れっこになってしまっていて、
反応しない。


「ばいばい」とは別れの挨拶であるから、
ストレートにとれば子供と別離するという事になる。
けれど、スーパーマーケットのお菓子売り場で、
親子の別離があるはずも無く、
この場合は「裏言語:早く帰りますよ。急いで。置いて行く事はまずないけど、
 置いて行かれると思って、慌てて下さい。」が言いたいわけだ。


そのことは親や周りの大人はわかっているけれど、
小さな子は言葉の裏など知る訳も無く、
「親が別離を言い渡して来た」と判断し、
置いて行かれないように慌てて着いて来る。
時には泣きながら。
何故って、お父さんお母さんから別離を言い渡されたのですから。


もしくはそこに
「子供なりの裏言語:もう少しもたもたしてても結局は待ちますよ」
が存在し、耳を貸さずに居座り続ける子もいる。
「どうせ置いていかない」とわかっている。




また別のケースでは、
議論が白熱して、意見が合わないまま煮詰まって来ると、つい
「もういい。勝手にすればいい」となる。
もちろん裏言語では
「全くよくない。勝手な事しないで下さい。
 今は保留にするか、私の言う通りにして下さい。
 でないと大変なことになりますよ。
 あなたに、その覚悟はできているのですか?」
と言っている。
なので相手が「もういいって言ったから」と素直に勝手な事をすれば、
ますます事態はこじれて、後悔することになる。
「もういいって言ったじゃないか」がこの場合通用しないのは、
周知の事実だ。


素敵な裏言語もある。
たとえば好きな人がくしゃみをする。
それに対してくすっと笑う。
この笑いにある裏言語は「大丈夫?かわいい。好き。抱きしめたい。」です。








補足:2011.3.28~4.7まで滞在した東京の実家にて書きました。
   日付不明。






  

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