2011/04/13

今は天使でいてくれる彼。

有史以前より、
人類に寄り添って来た、
炎。

時に見方であり、
そうかと思えば、牙を剝く。

人間を暖めてくれて、
狼の牙から守り、
食生活をより豊かに安全にし、
暗闇を明るく照らし、
夜、異性の姿を美しく浮かび上がらせ、
そして炎そのものも、
美しい。
人間の手の中でおとなしくしていて、
良き友のような顔をしている。

そのくせ、
ひとたび機会を得ると、
家を燃やし、森を燃やし尽くして、
命を奪う。
そんなとき炎は、
地球上の酸素を思う存分吸い込み、
羽の生えた猛獣のように踊り狂い、
大きくなり、
人間の手には負えない存在となる。

ただ、
すべては人間の価値観を後付けしただけ。

昔から炎は、
そうやって生きて来た。

人間の為にあるのではなく、
ただの地球上の物質の化学反応である。

今、
その化学反応が、
私の代わりに
キッチンでカレーを煮込んでいる。

ありがたき炎。

今は、天使でいてくれる。

0 件のコメント:

コメントを投稿