有史以前より、
人類に寄り添って来た、
炎。
時に見方であり、
そうかと思えば、牙を剝く。
人間を暖めてくれて、
狼の牙から守り、
食生活をより豊かに安全にし、
暗闇を明るく照らし、
夜、異性の姿を美しく浮かび上がらせ、
そして炎そのものも、
美しい。
人間の手の中でおとなしくしていて、
良き友のような顔をしている。
そのくせ、
ひとたび機会を得ると、
家を燃やし、森を燃やし尽くして、
命を奪う。
そんなとき炎は、
地球上の酸素を思う存分吸い込み、
羽の生えた猛獣のように踊り狂い、
大きくなり、
人間の手には負えない存在となる。
ただ、
すべては人間の価値観を後付けしただけ。
昔から炎は、
そうやって生きて来た。
人間の為にあるのではなく、
ただの地球上の物質の化学反応である。
今、
その化学反応が、
私の代わりに
キッチンでカレーを煮込んでいる。
ありがたき炎。
今は、天使でいてくれる。
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