2011/04/09

それはOLIVEの香りに寄り添う甘い記憶。








香りが記憶に宿るのが好きだ。


何年も前、入院した時に、
淋しくて淋しくて、
1日でも1時間でも早く、
帰りたかった。


お風呂は誰も使ってない時間を見計らって入り、
人を待たせるのも心苦しいので、
毎日あわてて出たものだった。


入院したときのお見舞い品の中に、
BODY SHOPの「OLIVE」ボディーシャンプーがあった。
シャンプーとリンスもセットで、
小さなかごに入っていて、
そのままお風呂に持って入れるように、
考えられたギフト。
見た目もステキだった。


始めて使ったとき、
なれない香りに戸惑ったのは、
今でも覚えていて、
今使っても、普通に出回っている香りとは一線を画すその香りに、
「この香りが好き!」と言う人は、
そう多くはないだろう、と思う。
でも何故か魅力的なその香り。
店頭では決して選ばないであろうその香りだけれど、
もらって、使って行くうちに、虜になったその香り。


入院中毎日、バスルームでその香りを嗅ぐたびに、
淋しさも忘れて目を閉じる。
香りに溺れてみる。




今回帰京して、
初日、BODY SHOPに向かった。
滞在中のバス用品を買う為だ。


大好きな店内で回遊し、
まだ使った事の無い香りの物を買うつもりだった。


どの香りも素敵だったけれど、
気持ちに添って来ない。


ふとあの時のOLIVEが目に飛び込んで来た。
グリーンのボトル。


何年ぶりかな?
これにしよう。








その夜バスルームで使うと、
とたんにあふれるようによみがえる記憶。


淋しかったはずの苦い記憶が微妙に姿を変えている。


それはOLIVEの香りに寄り添う甘い記憶。








病室。
淋しさに天井を見つめる時、
突然愛する人がドアを開けて入って来る。
忙しいはずなのに、私のシャンプーの事など気遣ってくれて、
枕元において行った。
「ユリの好きなBODY SHOPで買ってきました、どうぞ。
 シュークリームも買って来たよ。」


  




































補足:2011.3.28~4.7まで滞在した東京の実家にて書きました。
   日付不明。




  

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