2011/04/28

雲の影




街路樹の濃い緑の中、
車を走らせる。


悲しいぐらいの晴天。


病院からの緊急の電話。


あの人が。


ヒールが割れんばかりに、
アクセルを踏み込む。


輝く緑。
他の車は一台もいない。
焦りと不安からつい、
スピードを上げて行く。


ふと見ると、
日に照らされてまぶしい路面の、
あちらに向かって、
雲の影が流れて行く。


それを見ているうちに、
呼吸が速くなり、
心臓が言う事を聞かなくなる。






もっと早く行くべきだった。
あの日の午後の事です。









0 件のコメント:

コメントを投稿